カテゴリー:乾児 絆

  • インテリ商人 稲葉 林之助

    日付:2021年12月16日 カテゴリー:乾児 絆

     札幌沿革史(明治三十年刊)の中に札幌と小樽の商人を比較した一文がある。「小樽商人は物事進取の気性に富み、果断にして性磊落(らいらく)なり。常に胸襟を開きて談笑し、更に隠蔽する所なし。之に反し札幌商人は一朝にして大廈(た […]

  • 北の醸造王 石橋彦三郎

    日付:2021年12月14日 カテゴリー:乾児 絆

     昭和六年新年号の講談倶楽部に「小樽市金満家名簿」なる財閥番付表が掲載されている。トップを飾っているのは、当時の金額で五千万円と記録されて海運王の名をほしいままにした板谷宮吉である。貴族院議員の肩書も重々しく、同じ年の納 […]

  • まじめ 仲買人 稲積豊次郎

    日付:2021年12月12日 カテゴリー:乾児 絆

    「劔〇を提げて軍陣に臨む男児、もとより屍を戦野に曝すの覚悟なかるべからず。故に身を軍籍に置くの士は、精鋭の意気迸るの余り、多くは粗苦に陥り易く、隊を出でて農商の業に帰すの後と雖も、惰力のなす所、容易に停止する能はざるもの […]

  • 運、鈍、根の人 中村卯太郎

    日付:2021年12月01日 カテゴリー:乾児 絆

     明治初期、〝維新のあぶれもの〟が日本の津々浦々にあふれ、武士は武士なり、町民は町民なりに先祖伝来の故郷をすて、殆んど着の身着のままで未地の国を目ざした。 初めはブラジル移民を夢見た一人の若者が途中で北海道に渡ることに決 […]

  • 入婿模範生 木村円吉

    日付:2021年11月27日 カテゴリー:乾児 絆

      小樽商工会議所の現会頭、木村円吉一家はこの地元の港町ではやはり毛並の勝れた素封家である。たとえば円吉の姉キミの夫は今年五月東京に去った小樽商大前学長の大野純一、妹イクは緑町の松下恭二弁護士に嫁している。津軽の一寒村か […]

  • 名妓・糸八 その1

    日付:2020年12月31日 カテゴリー:乾児 絆

    春や昔「名妓糸八」紅情史(うきよばなし)―生ひ立ちと其頃の港小樽―-明治四十年頃の中村糸八-『はしがき』北海道が生んだ名妓、中村屋糸八の名は餘りにも有名であり、且つは古い。明治元年の暮『鮭』の石狩辨天町に呱呱の聲をあげ、 […]

  • 投機の栄光と悲惨 -その群像たち-

    日付:2020年06月12日 カテゴリー:乾児 絆

      日本は第一次世界大戦では、戦争の悲惨さを皮膚だけで感じ取って多くの恩恵を入手することができた。これを都市本位にみても小樽はその‶天佑〟のために、大いなる繁栄の契機を掴む事ができたのである。 貿易港たる都市性 […]

  • 銀行と電燈 倉橋大介

    日付:2020年06月10日 カテゴリー:乾児 絆

     当節流行物は室内射的場と小株の銀行であると悪口をききますが……  明治九年八月に国立銀行条令が改正されると、各地には都鄙を問わず有象無象の銀行が生れた。右は明治十年九月付郵便報知の記事である。たまりかねた政府 […]

  • 北海製紙の礎 森正則

    日付:2020年06月09日 カテゴリー:乾児 絆

     大正デモクラシーの遺産ともいうべき普通選挙法による最初の衆議院選挙は、昭和三年二月二十日に行なわれた。北海道は五区に分れたが、一区の定員は四名のところ十一名が出馬したのである。そのなかには日本共産党の幹部山本懸蔵の姿も […]

  • 艀の国士 中谷宇吉

    日付:2020年06月06日 カテゴリー:乾児 絆

       空も港も夜は晴れて  月に影増す船の影  艀の通いにぎやかに  寄せくる波もこがねなり この文部省唱歌は明治十九年に創られたものである。たしかに艀は長きにわたって小樽港の風物詩の一章を飾る存在であった。〈港湾労働〉 […]