清水町のアイヌの歴史⑦
2024年04月11日
⑦アイヌの歴史から豊かな未来へ
堀内光一が帯広のあるアイヌの男性から聞いた利春の言葉が、堀内の著書に記されています。その表現から、強制移住後のアイヌの人達が辿っていた境遇と、それを見ていた利春の様な当事者の想いがよくわかります。そしてそれは、全道的にも同じ状況でした。
「北海道はアイヌ民族のものだ。私ら日本人は開基百年とか百十年とか言っているが、アイヌ民族はさらに何千年も前からこの美しい大地に住んでいたんだ。その先住民族・アイヌをシャモが追っぱらったというのは、やはり…。
この美蔓地区にも昔、アイヌが暮らしていたが、そのほかも全部シャモがアイヌから取り上げてゆき、道端にアイヌの住宅を建ててやって、牢獄のように押し込めているだけなんだ。それ以外は何もせず、満足な補償もしていない。アイヌたちは怒っているでしょう。そのことに対し、私も日本人の一員として申し訳なく、気の毒なことをしたと思えば心が晴れません。
現在、日本政府も道庁もアイヌ民族に対し、ほとんど面倒をみていないのは残念至極です。どんなわけでしょうか。ただ、私もまだ若いし心ばかりのことであってもアイヌ民族に恩返しできればと考えています。」(シャモ/和人の事。良き隣人は「シサム」だが、良くない者の事を指します)
清水町に開拓団が入ってきた13年も前に、先に住んでいたアイヌの人達は本町から移住させられていました。
でもその後、時代に沿って、本町にアイヌの人達がいなくなったわけではありませんでした。
アイヌ刺繡を教えながら、大自然に寄り添って生きるアイヌの誇りと伝統の美しさや豊かさを伝え続けた高田絹代も、御影に長く住んでいた時がありました。
4千年にわたりこの北海道で暮らす為に続いてきた文化、その最新であったアイヌの伝統が、ここ百年で一般から隠されてきました。
古代から受け継がれてきた、北海道で持続的に暮らしてゆくその文化の知恵は、令和の時代になってから、豊かな未来に繋げる手がかりとしてますます見直されています。
(出田)
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