鰊盛業図屏風を読む

2024年03月25日

基調講演 井上研一郎 氏(宮城学院女子大学名誉教授)「鰊盛業図屏風ー画家の想いをさぐる」

報告   五十嵐聡美 氏(北海道立近代美術館学芸部長)「漁場を描くー今昔」

     長澤正之 氏(小平町教育委員会)「鰊盛業図屛風筆者久保田金僊と花田家」

 

現在、小平町にあります重要文化財旧花田家番屋を遺したのは花田傳作。明治21年に兄花田傳七から分家して明治38年ごろに旧花田家番屋を建設したといわれています。今回のテーマとなります「鰊盛業図屏風」は花田傳七が明治36年に久保田金僊に描かせてアメリカセントルイス万博に出品され、北海道の鰊漁を描いた代表的な資料として知られています。…。

~2023.6.1鬼鹿 鯡番屋前から見た景色

 

ニシン漁場での鰊粕製造の様子を六曲一双の屏風の両隻にわたり克明に描写する。

《鰊盛業図屛風》の景観構成~洛中洛外図屏風に見られた景観構成の原則は、本図においても同様に成立する。右隻の洋上に点在する島々は明らかに天売、焼尻、利尻の各島に対応している。左隻には島影は描かれていないが、水平線上に煙を吐く蒸気船の姿があり、北海道近代化の拠点として活気をおびていた小樽港の存在を暗に示していると考えられる。本図の両隻を向かい合わせに立てれば、海に向かってたったときに右手とhダリ手に見える光景が再現されるのである。…。

利尻島

天売島・焼尻島

蒸気船

右隻:ニシンの陸揚げ、モッコを背負って仮置き場への運び込み、鉄釜を使っての炊き出しなどに従事する人々、駆け回る子どもたち。木造の大きな建物1棟、やや小さい建物2棟。沖合には数艘のニシン漁船。周囲にカモメが群れ飛ぶ。水平線上に2つの小さな平らな島影と円錐状の山。

左隻:大きな木造の建物。中から白い湯気が沸く。手前には7台の手動の圧搾機「角胴」。その手前ではトンボを使って鰊粕を地面に広げ乾燥させる作業。それにつづいて俵詰め、その俵を担いで船に積み込む作業。傍らでは網縫いなどの作業に従事する人々。

いつもは、講師として小樽の歴史をお話ししてくださる方々や

似鳥美術館の学芸員の方

小樽総合博物館の職員・学芸員の方々も皆さん聞き入っていました

『私個人としては、これからもこのような機会があることを期待しています。博物館所蔵品で是非とも観てみたいものもあります。…。』