山田サンが道をつけたから山田町~⑫
2019年01月06日
マチの由来を続けよう…。
相生町
明治十一年(一八七八)までは土人家屋が二戸(十一人)しかなく、最初は入船町裏通りといっていた。
住ノ江町
明治十四年までは畑の土地だった。同年の金曇町大火後に貸座敷の移転地に指定され、十六年三月、旧住吉神社裏手に区画をつくり、住ノ江町とした。今の住ノ江市場は私のオヤジが市議時代に提案実現した者だが、そうなるまえは遊廓の建物で、その向いには今も昔のたたずまいが残っている。
花園町
ここも原野であった。秋にはススキがぼうぼうと風になびいていた所という。しかし、市の繁栄が来たに移っていくとともに人口が増え、十七年に花園町と華やかな命名になる。
明治三年頃、森谷栄作が無償で払下げをうけた十五万坪を開墾しないで放っておいたので北川郡長が十四年に取り戻して公園地とした。花園公園のはじまりである。
山田町
旧小樽と色内町の間に道がなかった。港町の海岸ぶちを時化ないときに通るしかなかったのを実力者山田吉兵衛が所有地の相生町より水天宮山西を経て堺町オコハチ川辺に通ずる道路を十六年二月に完成させたので功労者の名をとって町名とした。延長約千メートル。
稲穂町
元村稲穂沢といい、土人語のイナホ(アイヌの神=竜宮神社由緒)、イナウ(木幣)からきたき町名で、色内裏通りとも言われた。
手宮町
原名テンムンヤ(スガ藻の丘)。波のため岸に積もるゴモ(スガ藻)からきた名で、明治二年永住漁民十七戸五十七人出稼ぎ十四軒二十六人と早く開けたニシン漁の集落。十四年に町となる。のちに小学校ができた頃には人口五百余になった。背面一帯を手宮裡町といった。
色内町
原名イルオナイ、熊路の沢である
明治三年開拓使が村名としたが、永住二十九戸、出稼ぎ十七軒計二百余人が住み、一方隣の高島郡四ヶ村百六十戸とともに旧小樽に次ぐ発展ぶりだった。海岸の一本道しかなく、今の鉄道のあたりは一戸もない原野だった。
北海ホテル、マルヨ野口あたりから色内通り一面は仲谷吉五郎の土地で、マルヨのあたりは‶仲谷の沢〟と呼ばれた湿地。方々に沼があった。
仲谷はこのへんを海産干場に使っていたが、この仲谷家と宮古市伊兵衛、浜谷嘉兵衛の三人の土地を寄付させ道路をつくるつもりだったのが、浜谷が応じないので宮古市の所有地だけで出来たのが第二火防線だった。
そして、若竹町が鉄道のため漁ができなくなったと同じように北浜町から手宮方面への海岸埋立てによる新道づくりで漁家はこの地を捨てて高島に移っていく。
しかし、そのたのみのニシン漁がすたれるのにそれほど年数はかからなかった。
さてマルヨ野口の名が出たからひとつの昔話をプレゼントしよう…。
西尾長次郎という人は、その年で終戦になるのを待たないで昭和二十年一月二日の夜に八十七歳の長寿を全うして亡くなった。
その時点で彼が命名した酒‶北の誉〟は道内酒九万石のうち一万七千石も占める日本酒王国を築いていた。
北海道にきたのは明治二十四年で、そろそろ小樽も町名ばかりでなく人間も区と呼ばれるにふさわしく増えていた。ほとんどが北陸道からの移住者である。
長次郎は金沢市で正油をつくり銅山に手を出し、ことごとく失敗したあげく、北海道の由仁-三川間の鉄道工事に金沢辺百七十人の若者を引き連れて、リーダーとして参加した。人夫賃一人二銭で、幹部がそのピンハネするから怒ってケンカになり、一年たたずに小樽へ出てきた。
小樽稲穂町マルヨ石橋商店に兄の野口吉次郎が杜氏(とうじ)として働いていたからである。吉次郎はマルヨ野口の開祖になる。
吉次郎が八人兄弟の二番目、長次郎が五番目で、まさかエゾ地の小樽で兄弟再会とは夢思わなかったにちがいない。
長次郎は石橋で二年、さらに札幌支店にまわって正油の拡販につとめ、前任者のあけたアナを埋めてから独立開業した。清酒をつくり出したのは大正三年からで、この時代はよく酒が腐って造酒屋が大損をしているが、長次郎は先見の明と人一倍の辛抱で「北の誉」を大きくしていった。
ウィスキーの水わりに押され、ビールに押され、果てはショウチュウに押されてシボんだ日本酒に一陽来復がおとずれようとしている。酒のうまさでは清酒に勝てる酒はごく稀なのだが。
(写真は市史より)
手宮御便殿(天皇ご休憩所。中央二階建)
明治初めの商家の主婦と手代
小樽警察署と郡役所
~見直せわが郷土史シリーズ⑫
小樽市史軟解
奥田二郎
(月刊ラブおたる39号~68号連載)より
高橋悦郎氏 作成の地図によると
明治6年(1873年)頃の水天宮あたり
明治16年(1883年)頃の水天宮あたり
~山田吉兵衛氏が作った道路(相生町から水天宮山西を通ってオコバチ川辺への道路)が、あります
明治33年(1900年)頃の水天宮あたり
~山田町(明治19年~)があります
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