実態調査(1992年)から その21~小樽運河と木骨石造①
2019年02月19日
2.街並みと石造建築
①小樽運河と木骨石造
小樽運河の完成は大正12年のことだが、現在運河沿いに残る大規模石造倉庫群は、明治時代にすでに形成されている。小樽の石造りの町並みはここから始まったといってよい。
現色内のオコバチ川から手宮にかけての海岸線の埋立は明治22年にほぼ終了した。これと時を同じくして、右近権左衛門、広海二三郎、大家七平ら北陸商人が小樽へ進出。回漕業を営むかたわら倉庫業を兼業し、手宮から埋立地の北浜、南浜、有幌の各町に大規模営業倉庫を建設し、その勢力を拡張していった。小樽倉庫会社の倉庫(現小樽市博物館)もこの時期に建設されている。明治24年には63棟の営業倉庫のうち41棟が石造で建てられ、同30年には石造101棟を数え、ピークを見せた明治41年には石造147棟(全数198棟)を記録している(※7)。
旧北浜町(現色内3丁目の海側)には、バシリカ(腰屋根)形式(※8)の右近倉庫、広海倉庫など初期の大規模営業倉庫が遺存し旧南浜町(現色内2丁目海側)にも明治、大正期の営業倉庫が多数遺存している。図3-2-4は旧南浜町付近に現存する石造倉庫の分布である(※9)。
かつての南、北浜町と色内町との町境線は細い小路として残り、道の両脇を石造倉庫の壁で囲まれ、昔ながらの小樽を感じさせてくれる。「出抜小路」と呼称されるこの路地は、‶小樽の歴史文化と暮らしが生きづくまち並みの創造〟を旗じるしとして、現在運河沿いの大規模倉庫群などとともに、小樽市の「歴史を生かす街並み整備拠点地区」として整備が計画されている。
※7~『小樽区商業統計一班』による
※8~大棟の上に小屋根をのせた屋根形式
※9~小樽市『「歴史を生かす街並み整備拠点地区」調査計画報告書』
(平成5年3月)より作成した
小樽運河 北浜
第65号 旧右近倉庫 明治27年
第66号 旧広海倉庫 明治22年
第22号 旧増田倉庫 明治36年
第20号 旧渋澤倉庫 明治28年
第1号 旧大家倉庫 明治24年
第13号 旧小樽倉庫 明治23~27年
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