実態調査(1992年)から その19~石造建築の構造②
2019年01月27日
2.街並みと石造建築
1.石造建築の構造
この他に本石造と木骨石造の混合構造が13棟確認された(※6)。谷黒薬局(稲穂3丁目)小野田ら宅(錦町)は、店舗形式の3階建てで、1階部分を本石造、2,3階を木骨石造とするのが外観隅石の厚さから確認できた。永田アパート(花園3丁目)では、1、2階を本石造、3階を木骨石造としている。内部調査の結果、図3-2-3に概略示した本石造と木骨石造の取り付けを確認できた。この構造が見られる時期が本石造の増加と重なっているから、2つの構造の中間的―あるいは過渡的―なものと考えられる。
最近、こういった木骨の軸組や小屋組をあえて露出させるものが運河沿い石造倉庫の再利用例で見かけるようになった。大空間を演出すると同時に、その構造的特性を視覚的にも認識できるようになっている。小屋組に注目すると、殆んどがキングポスト・トラス(間束小屋組)やクイーン・ポスト(対束小屋組)といった洋風の小屋組に架けている。
従来、小樽の石造建築は「木骨石造」で「洋風小屋組」を架けると考えられていたが、1992年度の調査で、以降の半数近くに和小屋が用いられていることが確認できた。和小屋の中でも垂木小屋組が大半を占める。垂木小屋組とは写真3-2-1のように棟木を渡した小屋組のことを指し、一般に梁間の小さな建物に用いられる。構造上梁を必要としないため、小屋裏を有効に利用でき、軒高の低い蔵に好んで用いられている。
※6~表3-2-2では、木骨石造の項に算入しておいた
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