北海道中央バス（旧道銀本店）

2023年07月01日

CIMG5363 壁面のデコボコ模様が見事な北海道中央バス本社（旧道銀本店）

　色内一丁目の緑山手通り、日銀小樽支店のななめ向かいにある。北海道銀行本店は、小樽銀行と北海道銀行が合併したもので、建物は明治四十五年七月の完成。設計は長野宇平治、施工は地元の加藤忠五郎。石造二階建ての建物である。

　昭和十九年十月から海運局が使用、昭和四十年十一月に中央バスが買収した。建てられた当時は現在より規模が小さく、側面から見て前から五番目の窓までしかなかった。大正年間に増築され、さらに昭和に入ってからも増築されている。

　クリーム色の総モルタル塗り、石造に局部的にレンガ積みを加え、窓や玄関などに装飾的な灰色の石組を配しており、その組み合わせが美しい。昭和四十年と四十九年に外装を塗り替えた。現在の色は、この建物にマッチしないように思えるのだが……。

　銀行の建物だったので、内部は吹き抜けで回廊があった。いまは二階建てに改造されている。急傾斜の階段や棒かと防犯にでも使用したのだろうか、廊下を仕切る鉄製のとびらは昔のままである。金庫室（今は書類庫）が変わっている。内部の壁に金庫のとびらのような物が一対はめ込まれている。おそらく窓を金庫のとびらのようなもので覆ったものだろうが、金庫室に窓をつけるとは考えられないし、窓のあった部屋に金庫室を設けたのだろうか。

　古い建物なので、買った値段よりも改造、維持補修費の方が高くついたそうだ。この建物のはす向かいの日銀を、ここから写生したり、写真に撮る人が多い。「ここも日銀さんと同年代の建物なんですが、どうも向こうさんの方に人気があるようでしてねえ」とぼやいている。

～小樽の町並み　朝日新聞社編

昭和54年6月19日より

《指定第6号》