ミス・クララ・H・ロースとロース幼稚園
2015年09月30日
ロースは一八五〇年、ニューヨーク州エルマイラ市に生まれた。エルマイラ大学卒業後、絵の教師を経て宣教師となり、一八八五年、米国北長老派教会婦人宣教師として来日。日本の女子教育に深い関心を示し、八年間の女学校教師生活の後、一八九五年(明治二八年)、商業都市として発展し、女子教育機関の設置が急務であった小樽に最初の女学校「静修女学校」を設立した。これは庁立小樽高女(現桜陽高校)が設置される十一年前のことである。当初は花園町の小さい日本家屋に生徒は八名でのスタートであったが、聖書を基盤とし自由自治をめざした新しい教育の始まりでもあった。
数か月後には現在の富岡町に新校舎を建設移転。それは華美な装飾を押えた質素堅実なものであった。
しかし伝道協会からの補助は得られず、経営はロースが私財を投げうっての苦しいものとなる。
その後学校は順調に成長。幼児期からの一貫した教育と、女子教育との関わりの重要性から、一八九七年(明治三十)年、女学校を母体とした付属幼稚園を開設。これは道内の現存する園では、函館の遺愛幼稚園に次ぐ二番目に古い歴史を持つものとなる。
芸術面にも優れ、全幅の信頼を集めたロースは、一九一四年心臓マヒ荷より急逝、財政上の理由から静修女学校は廃校となり、二十年間の働きにピリオドを打った。しかし幼稚園はロースの名と精神を受けつぎ、「ロース幼稚園」として、存続。彼女の偉業を今に伝えている。
~おたる 歴史への誘い
月刊ラブ おたる 平成2年4月号~4年12月号より
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