往時を偲ぶ旧藤山倉庫(現二葉倉庫)

2015年05月01日

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 製缶のところの運河沿いに旧藤山倉庫があります。豪壮な石造建築が立ち並んでいる光景は、有幌の倉庫群に匹敵します。運河は大正十二年に完成しておりますが、この倉庫群は、明治二十三年にできているということです。防波堤や運河ができ、小樽が西海岸の中心港となり、物資の調達の中継地となりました。

 本州各地から艘で運ばれてくる物資は、筏(いかだ)で岸に運ばれこの倉庫に入れられたわけです。物資の運搬は仲仕といわれる人が行いますが、この仲仕は小樽を代表する労働者で、一人前の仲仕は米を二俵担ぐものとされておりました。

 藤山倉庫と云えば、すぐ思い出されるのが藤山海運であります。あるいは藤山汽船であります。この創始者である藤山要吉氏は着眼常に凡を抜き、小樽の大財閥となったのであります。大正初年には所有汽船十三隻、総噸数九千噸にのぼり、伏木、稚内間の航路を主として大阪まで延長しています。また、外国は支那、朝鮮、〇国までも圏をひろめております。

 その財は、莫大の一語に尽きますが、氏はよく公共の為に私財をなげうっております。例えば、日露戦争の時には二隻を御用船としておりますし、明治四十四年には、大正天皇がまだ、東宮でいらせられた頃御来樽の折の御泊所として、公会堂を建て後それを小樽に寄附しております。

 また、木造の落ち着いた感じの私宅が富岡町の公園入口のところにありましたが、その仏壇の前には純金を敷いていたと云う噂が当時の人の口の端に上っておりました。このような「噂」の出る程の大財閥であったのです。このように栄華をきわめた藤山海運も、今はこの旧倉庫が往時を偲ぶよすがとなっております。

 所在地   色内町三丁目

 所有者   二葉倉庫株式会社

 建築年次  明治二十三年九月八日

~小樽の石造建築  堀 耕 より

 

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