仲仕の話~ケガと弁当、自分持ち
2015年02月27日
四~けがと弁当、自分持ち
仲仕は、朝三、四時ごろギッシリと詰まった二色弁当を持って家を出ます。手宮から色内川下に行きますと、ナカイチとかマルコウという屋号を書いた弓張り提灯がズラリと並んでいて日雇いを集めます。
袢纏に「ももひき」地下タビ、毛布の端ぎれや綿を入れた「肩かけ」、ズックの「ワレ前かけ」~これは前が二つに割れて、両足にしばるようになっている~に「荷カギ」を持っています。筋骨はたくましく、みな潮風に焼かれたせいか、顔が黒々としています。
さて、その日の仕事にうまくありつくことのできた日雇いは、まず伝票をもらいますが、それには「月日と会社名」が書かれており、それを持って一日の糧を稼ぐわけです。
一方、常雇いと親方の関係は封建的なものでした。常雇いは何年も何年も苦労を耐え、やっと常雇いになったため、親方の言うことには絶対服従という鉄則がありました。たとえば、親方のお得意さんの冬囲いや雪かきなど、そういった私的なものまでにも従わなければならなかったのです。
また、仲仕の「けがと弁当は自分持ち」ということば通り、けがをしたならば、その治療費は貧しい家計から捻出しなければなりませんでした。当時は保険制度や共済制度が発達しておりませんでしたので、今から考えますと、随分と非人間的な扱いでした。その証拠に「けがをしたら仕損、死んだらクタバリ損」ということばが残っています。
ところで、遅く来た者やアブれた者は、月見橋のたもとに自然発生的に集まり、仕事を待っていますが、その集団を「ゴモ」といい、そこにはリーダーがいます。これを「ゴモ頭」といい、非公式ではありますが相当な権力を持っていて仲間の統制を乱さないように監視をしています。例えば、人集めに来た者との交渉はこの者が行い、時間、賃金、人選までも行います。
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