早くから衰退を予想 (続)
2015年03月16日
現在の樺太の鰊を見ると食料としては頗る適当である。第一体が大きくて大抵百目から百二十目くらいである。そうして腹の肉が肥満しておつて、比較的卵が柔らかいから食料としても燻製にしても北海道の鰊に比較すると、遺憾ながらも吾々は樺太の鰊をとらなければならぬ。然して北海道の鰊漁というものは、今日のままで放任しておけば、自然に衰微して北海道将来のために非常の影響を惹きおこすのである。
しかしながらこの鰊肥料というものは日本では従前から使用しておるのであるから、決して絶滅するような事もなかろうけれども、到底昔のように価額が高くなる気遣いがなかろう。したがって北海道の漁業はこれからいかなる方針をとったらよいかという問題に立ち至る。
この問題について吾々の考えは現今北海道の建網も刺網も許可数があまり沢山増えてきているからして、これがためにある漁場ごときは連年非常に損ばかりしている。それ等を救済するに第一に漁業整理ということをしなければならぬ。例えば十年前に網数の少ない時は十人で一万圓取ったのが今では十五人で一万圓取るようになったのは全く漁場の多くなったためである。
即ち収穫の上から見れば鰊の方は相当収益はあるけれども、個人としての左のみ利益を見ないのみならずかえって損をしている者もある。勿論中には利益ある人もあろうけれど、その利益は不統一にして利益の配分の如きは大いに不平均の観がある。要するに現今北海道の漁業は概括して言えば非常に不利益なる位置におるから、どうしてもこれを整理しなければ、爾来北海道の漁業が相当の利益を得ることが至難であろうと思われる。
又一両年まえから釧路方面の鰊漁業に例の巾着網を許可して試験のため百二十網を試用せしめたことは、これ即ち北海道の漁業の一新生面を来たすべき端緒である。思うに将来はこの巾着網が一般に行われるようになるに違いない。吾々の考えでは唯釧路のみに許可しないで、全道に巾着網を許可するということが利益であろうと思われる。
元来北見の如きは一時四百内外の漁業家の数があったけれど、現今では不漁のために僅か六十くらいに減少したのである。これすら満足なものがないという有様である。その訳を聞いてみると鰊は沢山おるけれども沿岸の方には寄付かぬということであるからして、この場合どうしても巾着網を用いて、沖取りするのが得策であると思う。何時いつまでも建網をやっている時代ではない。所謂棚にある牡丹餅の落ちるのを待っていないで、その牡丹餅を取って食うようにしなければならぬ、というのは私の考えである。
そうして宗谷海峡から今の後志の方、即ち西海岸は今日建網の数を相当に減じて、漁業者収穫の平均を維持せしめてやりたい。しかしながらこの平均を維持せしめるということは、非常に困難であるけれど、これはどうしてもそういうような方法をとる事に努めなければならぬ。これについては北海道全体の漁業者もおそらく異論はあるまいとおもう。これを整理して振興せしむるは、非常に難問題であると思うが、さりとてこのままに放任しておけば、北海道鰊漁の将来のために甚だ悲しむべき運命に逢いはせぬかと懸念するのである。云々
会いに行ってきました
でも、会えませんでした
夏場に復帰するようです
でも、前を向いて
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