旗亭 海陽亭 その三
2014年09月22日
中でも千古斧銊を知らない豊富な樺太木材をめぐって製紙業者の往来が繁かった。その中の王子製紙社長後の軍需大臣藤原銀次郎氏も大層な海陽亭びいきで好みで茶がかった座敷を自分用に建て増したり、三井家お抱えの名板前を連れて来て懐石料理の伝承をして呉れたりした。その座敷は終戦時のどさくさの時惜しくも取りこわしたが、その名包丁のあとは今に海陽亭の料理場に残っているという。
更に大三菱の御曹司岩崎彦弥太。郵船会社社長の近藤廉兵。藤原の製紙界の好敵手大川平三郎などという名だたる天下一流の事業人の来遊が海陽亭を賑わした。同時に海陽亭自身もこの人々の清遊豪遊によって高められた内容を持つようになった。
一代の船成金犬上慶五郎の豪遊はすさまじかった。素一介の浜人足から身を起こして第一次欧州大戦の風雲に乗じて船成金になり貴族院の多額議員にまでせり上ったものの、北鉄疑獄に連座して晩年は寂しく終った人であるが、全盛時の犬上汽船の新年会といったら大変なものであった。
タイムマシン小樽 田辺 順 月刊おたる 昭和48年3月号~48年12月号 連載より
THE JR Hokkaido №305
南樺太
代表的なエゾマツ林
トラクター運材
水が見えないほどの幌内河口
王子製紙豊原工場
望郷 樺太 国書刊行会より
「初めて赴任した稚内。 樺太出身の
やなぎだいくさん いましたね。」
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