実態調査(1992年)から その2~一次調査の全棟数は2357

2014年08月22日

1-4-1調査対象の棟数

 一次調査は主に外観から戦前期の建築を判断し「建築基本カード」(1-1参照)

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の調査項目にその内容を記入した。社寺建築は、市全域にあることから事前に建築年(昭和20年以前)の確認を行い、調査に臨んだ。その結果、一次調査の全棟数は2357棟(社寺建築54棟を含む)であり、町別の棟数は表1-4-1に示した。調査灯棟数の多い町は、緑町の373棟を筆頭に、色内、稲穂、花園、入船であり、主要な市街地に戦前記の建物が集中している。また、市街地周辺の銭函、奥沢、錦町、高島などに地区の特性を反映した多くの建築のあることが確認できた。

 二次調査は、一次調査の対象建築の中から、歴史的に貴重である物、地域の特性を伝えるものなど508棟を選出した。そのうち、社寺建築は28棟である。二次調査の多い地区と、その建築種別の特徴は次のとおりである。色内(66棟)、稲穂(45棟)は主に商業施設が多く、入船(41棟)、花園(37棟)、錦町(21棟)は商業施設と住宅が混在し、祝津は旧漁家の番屋や倉庫が残り、奥沢(19棟)は勝納川に沿って醸造や靴の製造工場の施設群があり、それぞれ地区の特徴を反映している。

 二次調査の聞き取り調査は、多くの市民の協力を得て作業を進めたが、諸般の事情により協力を得られない場合もあり、一部に追調査の必要なものが残った。また、二次の候補に選定しながらも、調査の結果、建築年が昭和30年以降であったものは二次調査の対象から除外した。

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市場までの道~信香町、若松町の小路に入ってみました。

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DVC00006.JPG錻力細工師・坪田延次郎~今日では一般的になったブリキ屋根工法の第一人者。防水・防火に貢献し全道の業界を束ねた。坪田の作品は全道の社寺仏閣の屋根飾りや擬宝珠などの建築金物や灯篭に多い。

 

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信香地区に残る建築は住宅が中心であるが信香町、若松は商店が加わり、商業地としての性格も持つ。この地区には小樽市内でも初期の遺構が確認できる。明治10年以前の創建と考えられる土蔵が勝納町、信香町に残る。小樽では明治20年代から木骨石造の蔵や倉庫が建つようになるが、それ以前のものは土蔵造であった事を裏付ける遺構と言える。(歴史的建造物の実態調査(1992年)より)