清水町のアイヌの歴史⑧

2024年04月12日

⑧清水町のアイヌ語地名

熊牛(クマウシ)

 アイヌ語では、クマウシイ・クマウシで、アイヌ語の意味は、物干し多くある所です。クマは、先が二股になった棒を二本立てて、上に物干し竿を渡し、魚などを懸けて干したもののことです。

 川上郡弟子屈町にも熊牛(クマウシ)地区がありますが、アイヌ語の意味も全くおなじです。(出典①)

清水(シミズ)

 アイヌ語地名はペケペッレで、アイヌ語の意味は清澄な川。語彙は「(ペ)ペケレッペ(水)が清澄な川」できれいな川が流れている。清水はその訳名。[松浦武四郎解は「ペケレぺ明るき水この川の明るき故。ミズが清冽という意味だろう](同①)

人舞(ヒトマイ)

 アイヌ語地名はニトゥオマプでアイヌ語の意味は寄木川、寄木あるもの(川)。明治29年図では、地名はニトマプ、川名はニトマイとなっています。(同①)

美蔓(ビマン)

 アイヌ語地名はピパウシで、アイヌ語の意味はカラス貝多くいるもの。元来、美蔓(ビバウシ)村と呼ばれた旧村名からの名残でしょう。(同①)

羽帯(ハオビ)

 アイヌ語地名では、ポンイオプ・ポニオプで、アイヌ語の意味は、小ヘビ多き所・小さいそれ多くいる所です。また、ポネオプ、骨の槍ともあります。(同①)

 羽帯の米田勝次郎が著した郷土史の書名は『ホネオップ開墾記』となっています。

御影(ミカゲ)

 昔はサネンコロ(佐念頃)と言われましたが御影石が採れるので、それに因んで御影に改名しました。サネンコロは出ている鼻で十勝川の方に出っ張っている山崎のことを呼んだ名でした。(出典②)

 松浦武四郎は安政5年にニトマフに泊まりましたが、それより半世紀以上も遡る寛政12年、十勝内陸調査に入った皆川周太夫が書き留めた「十勝川筋の図」があります(『清水町百年史』88頁)。ここには「ケ子(ね)」の次に「サン

子コロ」の地名が出てきます。1800年の記録です。御影の旧名が出てくる最も古い史料ではないかと思われます。

(草野)

出典①北海道環境生活部アイヌ政策推進室アイヌ語地名リスト

出典②『北海道の地名』(山田秀三著昭和59年、北海道新聞社発行)