鳥人スミスの小樽飛行大会 23

2020年06月05日

 大正6年8月27日、アメリカの冒険飛行家アート・スミスは小樽公園グランドに3万の観衆を集めて飛行大会を開催した。

 本道においての飛行大会は、小樽のほかに札幌、旭川、釧路、室蘭、倶知安などでも催されているが、今回はこの小樽大会について述べてみたい。

 なお、この年の8月上旬の新聞広告やチラシには、小樽大会は8月25日と記してあるが、他の地区において天候の関係で日延べしたところがあったので、小樽は8月27日が正確な開催日である。

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 日本ヒコーキ物語北海道編(平木国夫著)によると、北海道においては大正2年に日本人飛行士によるハヤブサ号やオオトリ号の飛行大会が札幌で開催予定のチラシが掲載されているが、いずれも失敗や中止になっている。

 そんな世情背景の中で、アート・スミスは大正5年カーチス式推進機(プッシャー)2機をもって来日しているが、札幌飛行のときは墜落負傷している。

 翌大正6年には、ごく軽く足を引きずりながらも母親を同伴して再来日した。飛行機も前年のものを改良したカーチス式OX90馬力機を持ってきた。

 小樽大会の後援会は永井小樽区長、樽中の清水先生が副会長、小樽在郷軍人会長菅大尉、区会議員寿原重太郎、河田毎夕社長、戸石タイムス支局長、小樽新聞木村氏などが幹事となって花園町の旭屋に大会事務所を設けて、会場設備や観覧前売りなどの準備を行った。

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 当日8月27日は、午前と午後の2回にわたり飛行の妙技を展開したが、好天に恵まれ、この大飛行を観ようとする人たちによって公演はパンク状態になった。

 緑町の丘陵や、正法寺、妙龍寺、直行寺の境内、商業高校の行程などにも多数の観衆が集まっていたという。

 小樽新聞は「水の如く澄みわたる青玉の大空へ―小樽にて飛べるアート・スミス」。『小樽の大飛行―花園公園は空前の人出』という見出しで大会の様子を大きく報道した。

 当日、スミスは村田中尉、伊松執事、メナスコ技師などと共に、札幌から小樽駅に到着すると、駅前に出迎えた数百人の人たちは「スミス スミス」と連呼したり、中にはバンザイを叫ぶ人もいた。

 飛行の妙技は、逆転飛行を6回、得意のキルク抜きを7回、更に逆転を試み、上昇して横転飛行も4回行うなど、観衆をびっくりさせた。飛行の後、豆自動車に乗ってその歓呼に応えた。

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 スミスは小樽大会の後、新聞社に次のように感想を述べている(当時の新聞活字は現在使われていないものもあるのでその要旨をお知らせする)。

 『申し分のない飛行日和で愉快に感じた。上空から眺める小樽の景色は形容のことばに苦しむほどの絶景で、日本海を通して天塩の山々も鮮明に見えた。緑の山々に包まれた市街の屋根はキラキラと光って、縦横に通じている街道が白く見え、港内に碇泊している汽船の姿もおもしろく見えた。

 ただし、小樽は山に囲まれているためか、かつて経験したことのない悪質の気流があって寸分の油断も許されなかった……』と述べている。

 スミスはこの年の来日で、関東、関西、東北や台湾でも飛行しているが、悪気流の中での飛行大会は、別の見方からすれば技術の上で見ごたえがあったものと推察される。

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 大正6年といえば、小樽の経済も活気があり、商工会議所会頭に山本厚三氏、副会頭に森正則氏が選ばれた年である。

そして、札幌と小樽で開催された開道五十年記念博覧会の前年でもあった。

 そのころの小樽の劇場は、錦座、公園館、電気館、神田館、八千代館、ニコニコ館があった。映画は無声であったが、林天風、関楓葉、熊谷暁風という一流の弁士が来道して名調子を聞かせていた。

 時は流れ、平成のいま、宇宙探査ロケット打ち上げの時代に入った。

 74年前の飛行大会の写真を見ると、二枚羽のプロペラ機は鳥のようにも見えるし、これを観る人々の歓声が聞こえてくるような気がする。

冒険飛行中の急転直下

空界の勇者アート・スミス(右)と母親。スミスはこの時24歳。

低空飛行のカーチス式飛行機。当時はこの状態を地上セップン飛行と呼んでいた。

 

~HISTORY PLAZA 23

小樽市史軟解 第1巻

岩坂桂二

月刊ラブおたる 平成元年5月~3年10月号連載より

 

今日も天気が良いので

岸壁に寄ってみると

チカや黒ガレイが

全長34センチでした

こちらの方はまだ連れてないんだ

と、思いきや

海から上げてくれました。

35センチ越えが14,5匹

『どうして色が違うんですか?』

「活〆するといろが変わっちゃうんだよ。」

 

今は産卵のため岸に寄ってきているそうです。

連休前までがねらい目です。

だから、このところ朝早くに漁船が

防波堤の近くで漁をしているんだ

~2019.4.12