あ~木村倉庫

2021年11月27日

CIMG5380奥沢や天神町から運んできた良質の軟石でつくられた倉庫

~港の隆盛期に海産物を収納

 木村倉庫の中でも一番古いのが堺町通りに面している事務所横の倉庫。明治二、三十年ごろ、初代木村円吉氏(現在の木村倉庫の社長は三代目)の時代に建てられた。当初は浜益でニシン業をしていた木村氏の個人の倉庫であった。

 ニシンで得た資金で倉庫業や問屋兼荒物業、土地貸借業なども行っていたが、営業倉庫として倉庫業に本格的に力を入れ始めたのが大正の初め。ちょうど海運ブーム、雑穀ブームが到来した小樽の成長発展期にあたるころであった。ニシンが盛んなころはニシン製品や海産物を入れ、ニシンの衰退とともに収納物は米やトウモロコシ、小麦などの農産物に変わっていった。

 会社組織としての現在の木村倉庫株式会社になったのは昭和三十五年。事務所横に現存している倉庫は1、8、9号倉庫にあたるもので、その後ろには、3、4、5号と6、7号倉庫とが二列に分れてつながっていた。だが道路(臨港線)建設で豆選工場とともに取り壊された。倉庫は奥沢や天神町から運んできた良質の小樽軟石で造りあげられたということである。

 木村倉庫の現事務所は、昔、荒物業、海産商をしていた木村商店の本店が位置していたところ。堺町通りの港側は当時海であった。このことから、ニシン業の個人倉庫とし始まった木村氏の倉庫が陸地にあるのもうなづける。

~小樽の町並み 朝日新聞社編

昭和54年5月1日より

《指定第21号》

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