小樽運河③「石造倉庫とはしけ群」
2016年10月03日
えと文 藤森 茂男
石造倉庫のいらかの連なる運河山側の岸壁は、小樽が港づくりに最初にとりくんだ埋め立て工事である(色内岸壁一八七二年)。これを機に旧称手宮港が小樽港となった。
一八八二年。日本で三番目の鉄道が手宮ー幌内間に敷かれた。しずか号や弁慶号に引かれた長い石炭の貨車の列は、運河のすぐ裏側を通り、手宮の高架桟橋から船積みされていった。
北と南の防波堤が築かれ、次いで長い論争の後、埋め立て式の運河がつくられる。設計から着工まで五年、工事に九年をかけた(完工一九二三年)。埋め立て地には近代的な工場や倉庫、税関や橋が建設された。
小樽港からニシン、コンブ、雑穀、石炭が内地へ積み出された。一方、道路、鉄道、鉱山、農地を開くために、たくさんの人間と資材が小樽から道内各地に送りこまれた。
小樽商圏は、サハリン、沿海州、千島、カムチャッカへと伸び、ロシア、、中国、アメリカ、イギリスへと外国定期航路も開設されていく。
大正から昭和十年(一九三五年)代までが小樽港の最盛期といえる。
~1986年12月14日より
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