早川商店(現在の川又商店)㉑

2016年02月18日

 IMG_4122早川本店のあった場所

 丸越早川商店の本店は、色内町に三井銀行と並んで、かつては石造りの大店舗を構えていた。その開業は明治十五年、茶、紙、文房具を商い、エンピツ「日本武士」は抜群の売れ行きを示した看板商品であった。創業者の姓を冠したこの早川商店の経営上の特色は、顧客本位の商品陳列、本店と支店間の平等、各店舗の自由競争による業務の発展などを企図した点にあった。十店近くにも増えて行ったその支店の一つが、この店である。

 川又健一郎は、越後国出身で、明治二十五年に来道して早川本店に奉公した。誠勤勉に仕事に励んで店主に信頼され、同二十九年にはもう暖簾分けをしてもらい、支店を開くに至った。その店舗は、日露戦争最中に起きた小樽大火に遭遇して全焼してしまった。その大火の翌年にあたる明治三十八年に建築したのが、現在に残る建物なのである。石造り店舗と裏手にある石造倉庫がそれで、その間の木造家屋は昭和五、六年頃の建築である。火災に懲りてか、木骨石造二階建て店舗の隣家に接するところには、石造りの防火袖壁が設けられている。そこには、丸越のマークの下、昇る朝日と鶴・亀と松の枝が彫刻され、健一郎の願望と優雅な一面を示している。

 昭和六十一年四月十一日、市の保存対象歴史的建造物に指定されている。(所在地 色内二丁目4の7)

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IMG_2501より

 

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『この建物を建てたのは川又健一郎氏なのです。ならば…。』