駅前通り~商都復活、試練の再開発
2015年07月25日
~大正八年ごろの駅前通り。左側の道筋の特徴ある洋館は北海ホテル
~現在のビルが立ち並ぶ小樽駅前。正面中央の歩道橋のむこうが駅前通り
豪華客船が見えることも
意匠を凝らした高層ビルが並ぶ。ショッピング街を、家族連れや若い女性が、楽しそうに往来する。
国鉄小樽駅前は、小樽のあたらしい顔である。
第一ビル、長崎屋、国際ホテル……。百十一億円の巨額を投じ、四十七年から四年がかりで進められた駅前再開発事業で古い町並みは、見事に近代的なビル街に生まれ変わった。 だが、利害渦巻くなかでの市街地再開発。そう簡単に事が運ぼうはずがない。市が青写真を描いてから事業スタートまで、実に余年の歳月を経た。
「用地買収交渉、入居権利者の店舗配置問題、いろいろ苦労もありましたが、最大の難関はやはり人間開発でした』。この事業を担当した市幹部の話だ。
小樽商人は歴史と伝統に支えられた気骨がある。なかでも全盛時代に生きた六十歳以上の商店主は、全道の商圏を手中におさめ、遠く樺太や千島にまで羽を広げた当時の夢と意欲を、現代にまで脈々と抱き続けていた。
夢よもう一度……。機会が来れば自分の城で戦いを挑む。市街地再開発で自分の城を失うことは、その夢を一挙に崩されることを意味する。商店主たちが、開発計画に強硬に抵抗したのも当然かもしれない。
市の担当者たちは、連日のように商店主たちと語り合い、時に国内の発展途上の各都市を一緒に視察、寝食を共にして小樽の将来を論じた。
結果は、端的にいえば「小樽は、このままではダメだ」という事だったという。
逆にいえば、商店主たちは、再開発による土地買収や、立ち退きという瀬戸際に立たされて初めて事態の深刻さを悟ったのではなかったろうか……。
ここに「小樽市卸売業調査診断報告書」という資料がある。小樽卸商連盟が、商都復活の指針として、今年五月にまとめたものだ。
その勧告編に「読む人がいかに不快に感じようと、本音を書く」との決意と、次の勧告が述べられている。
「昔の夢は忘れよう。関西商人と並び称せられた小樽商人気質。そんなものは、ほんの一握りの卸商人を除いて、とうの昔に雲散霧消したように思える。」
「ガソリンのない自動車が動くか?小売店が買いたくなる商品を持たずに何が不景気だ、何が地盤沈下だ、何が共同事業だ……」
業界への痛切で激しい批判の言葉がさらに続き、小樽商人の奮起をうながしている。
この提言は、業界内部で、すでに自浄作業が始まっている〇付けでもあるのだろう。〇〇に、この提言をどう評価し、どう対応していくか……。其れが商都小樽の、明日への道を切り開く、ひと?????
~おたる今昔 読売新聞社編
昭和55年9月17日~10月21日連載より
今日は花園公園からスタート
そば会席 小笠原
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