独特なふん囲気の富岡町

2018年09月19日

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 小樽が映画やテレビの舞台になると、必ず坂の上から港を見下ろすシーンがでる。

 以前、知人が小樽駅横の三角市場のそばの“船見坂”をのぼった富岡町に住んでいた。その家は昔、船長さんの住いで、道路から十数段上ると玄関につきあたり、居間からは海を一望できた。

 船長さんの奥さんはこの居間から主人の乗った船が汽笛を残し、港内をゆっくり進み、防波堤の間の赤、白の灯台を過ぎて、やがて左に大きく航路をかえ、高島の岬に姿を消すまで見送ったのであろう。そして何ヵ月後に戻ってきた船を迎えたのも、この家、この窓であったはずである。

 この話を聞いていると、歌劇“マダム・バタフライ”のようにロマンチックな香りがただよう雰囲気の家のように思えた。“船見坂”のいわれも、こんなことからできたのかもしれない。

 大正時代の小樽繁栄期に三井、三菱、住友系の各商社、銀行などが競って小樽に出先機関を設け、本州からの転勤者のために社宅の建設が急がれることになった。社宅地に選ばれたのが現在の富岡町一帯。板谷商船や榎本武揚らの北辰社の社有地で、買収が容易であったらしい。

 社宅ができると、古くから開けた勝納川、オコバチ川の流域や、港に近い町並みとは違った雰囲気をかもしだしてきたが、これは港町共通のものである。函館市の山手ハリスト教会やカトリック教会、そして多くの寺院が集まっている元町あたりの住宅地がよい例。そのほか横浜、神戸、長崎なども下町と対照的な山手ができあがっている。

 こうして富岡町は本州からの転勤者が集まり、海にそった町並と違った雰囲気を持つ一画を作った。このあたりは大正から昭和にかけてテニスコートがたくさんあったのもこの影響のようだ。

~坂と歴史の港町 小樽 朝日新聞小樽通信局編より

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CIMG0516居間からの景色はこんなかな?

個性的な家がたくさんありました。

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こんな景色も。

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『残念ながら、テニスコートは見つけることが出来ませんでした。』

~2015.5.18より~