猪俣安造と銀鱗荘(旧猪俣邸)

2015年05月17日

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CIMG0489シケでニシンが打ち上げられたんだ‼

 明治18年、新潟の宗家に生まれた彼は、同40年、祖父安之丞亡きあと事業の一切を継承する。それまでの漁業経営・海産商に加え、水田を開拓し農場経営を行うなど事業の拡大を図った。守成の才を有する彼の大資産は大正年間を通じ、日本の長者番付のひとりに数えられたのである。

 他方、公共のために惜しみなく私財を投じ、後志漁業信託会社の創設・黒川村一帯の湿地の埋立など、余市町の発展に多大に寄与し昭和26年没、同40年、余市町名誉町民に叙せられた。

 銀鱗荘は明治6年、猪俣邸として安之丞が築城したものである。当時の邸は、木造柾葺2階建に土蔵が付随し、屋根に浜石が並べられていた。

 現在の姿になったのは、明治30年夏から3年がかりで行われた大改築工事によるものである。

 本屋は技倆秀抜した越後宮大工の設計によるもので、格調高き入母屋望楼付、定紋入りの若狭瓦葺の本家は重厚さと落ち着きをみせ、軒桁・格子・化粧見出などは伽藍調を帯びた豪壮さは世人を篤倒させた。又、正面腰羽目に使用された数枚の大型花崗は、輸送機関稚拙な時代にあっての輸入品である。

 当時、本屋下屋に離れ座敷、石造倉庫と中庭が附随し、優に一町四方の猪俣家大邸宅を形成していた。

 昭和13年現在地に移建し、翌年竣工さる。

~おたる 歴史への誘い

月刊ラブ おたる 平成2年4月号~4年12月号連載より

IMG_0002今朝の旧猪俣邸

IMG_0003うすぐ終わる春蝦蛄漁