仲仕の話~担ぎ方
2015年02月26日
三 担ぎ方
一人前の仲仕は米二俵を担ぐものとされています。当世流にその重さをいいますと約一一五キロになります。
このように重いものを担ぐ人は現代ではそう居ません。然し、昔の仲仕達はそれを長時間担いだのですから大した力持ちだったと思います。位置ですが、肩ではなく首の付け根のところに荷物を固定します。その時、前に六分、後ろに四分という比重で担ぎ、前の方を「ノンコ」でちょっと持ち上げる具合にします。そして、背骨に直角に担ぐわけです。ですから重力は凡て背骨にかかります。つまり、荷物を担ぐ時は身体の中心に重力がかかるようにします。その理由は、肩で担ぐと、どうしても前かがみになり長続きしないからです。
・米二俵を担ぐ時
さて、米二俵担ぐときはどのようにして担ぐのでしょうか。
まず、肩の上に乗っている一俵をしっかりと安定させます。その上に、もう一俵乗せるわけですが、それは相方(肩に乗せてくれる人)が、空中に二俵目を放り出します。低く、しかも仲仕が受け取り易い位置に落下するように放り出します。と、仲仕はその二俵目を一俵目の上に受け取ります。その時、仲仕は中腰の自分をちょっと伸ばすようにして反動をつけ、二俵目の俵と一俵目の俵との接点のスワリをよくします。このタイミング、位置のたしかさ、荷カギを引っかけるところ・・・これらは寸分の誤りも許されません。一種の名人芸です。
ヘタに担ぎ、足がブルブル震えていると「お前何をしてるンだ。そんな恰好で…」と言って足を蹴られたそうです。
歩み板に反動をつけ、軽々と渡る仲仕達にも並々ならぬ修業があったとということです。
堀 耕 仲仕の話より
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