仲仕の話 

2015年02月24日

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一 仲仕とは

 仲仕~なかせ~は、かつての小樽を代表する労働者でした。

 仲仕とは、ハシケから倉庫へ荷物を運ぶ人のことで、そろいの袢纏に肩かけ、荷かぎを以て颯爽と働いていたものです。

 ポンポン蒸気に引かれたハシケがくると陸(おか)仲仕たちは「歩み板」をすぐかけます。そして、米二表を担ぎながらよくしなる歩み板を反動をつけながら軽々と渡ります。

 荒削りで重厚な感じを与える石造りの倉庫の前を、荷役の掛声も勇ましく一列になって担いで働く仲仕達の姿、そして運河では、荷積みをした何艘ものハシケが行き交い、不協和音がうなりをたてながら人々の心をかきたてておりました。

 明治十三年に小樽~札幌間に鉄道が敷設されましたが、これによって一漁村にすぎなかった小樽は物資の中継地になりました。更に、日清・日露の戦勝によって一躍集散地となったのです。当時は、人の手によって物資の揚げ降ろしが行われましたが、それをさばくには専ら人海作戦をとらざるをえませんでした。そしてそこに荷役として生まれたのが「仲仕」でした。

 「仲仕」とは、荷物の積み下ろしをする、屈強な人間のベルトコンベアーだったのです。

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~堀 耕 郷土史料集 仲仕の話より